トモコヴォイス会報誌vol.48

「熱い人でいよう!」
ー情熱は連鎖する=希望を作るー

久しぶりに映画を見た。
実話をもとに作られた「陽はまた昇る」。

蓄音機の横に犬が座り音を聴いているあのマークでおなじみの
日本ビクター社のミスターVHSと呼ばれた高野鎭雄氏をモデルに、
家庭用VTRの開発と世界統一規格に情熱を傾けた人々の姿を
描いた映画だ。

主演は西田敏行、他に渡辺謙、緒方直人、仲代達矢等。
私はすぐにこの映画の世界に入り込んでいった。

70年代前半、それまで右肩上がりだった日本経済が
初めてマイナス成長に陥った。
そんな中、家電メーカー業界八位の日本ビクター本社開発部門
に勤める開発技術・加賀谷(西田敏行)に、事業部長として
赤字続きの横浜工場ビデオ事業部への移動と大幅な人員削減
の命令がくだる。

それでも加賀谷は社員240名ひとりの解雇も出さないようにする。
そのために、本社い内緒で家庭用VTRVHSの開発をしはじめるのだ。

ところが数年後、家電メーカーのソニーがベータマックスを発表。
彼らは崖っぷちに立たされるが、それでも彼らはVHSに夢と希望
を託し開発を続けた。

そして、遂にベータマックスを超える録画が可能な
試作機が完成する。
しかし、その時既にベータマックスは国内規格として
採用されようとしていた。
あらゆる苦難を乗り越えていく。

その結果、ひとりの解雇者もださずにVHS方式のプレイヤー
の販売にこぎ着けることに成功。

そしてVHSは世界規格へとなった。

私がこの映画で好きなところでもあり感動したところは
ひとりの力からはじまるが、それがいつの間にか
みんなの力になっている」ことだ。

人員削減をしないことなど到底無理と思われ、
社員みんなが不安な中、主人公は自分の想いを貫く。

社員みんなの名前を覚え、みんなの特技を調べ、
自分たちの身は自分たちで守るため開発部門を作るんだ、
こういう想いなんだ、頼むからついてきてくれないかと
正直に謙虚に社員みんなに協力を求める。

はじめは半信半疑だったみんなが少しずつ彼を知り、
信頼していく。

VHSが完成した時、ふつうなら自分たちのものとして他に渡す
ことなど考えられないと思うが、彼らは世界に広めるため
すべてのメーカーにVHSすべてを教えて、互換性をもたせ
世界規格へと発展させることをみんなに説得する。

開発者たちもすぐに彼の考えを理解して同意する。
完成後もなかなか販売までの道のりは遠い。

苦難の中ひとり残った加賀谷は、はじめて対立していた
次長の大久保(渡辺謙)から「今から大阪へ行きましょう」
と言われる。

それは二人で親会社である松下電気相談役、松下幸之助に
直訴しに行くということだった。

ミスターVHSのどんなに大変な中でも、社員のためお客様のため、
日本のために絶対やり遂げるんだという熱い想い、情熱が
大久保にも、また松下幸之助にも伝わったのだ。

そして大きなことが成し遂げられたのだ。

今、日本でも自殺者が毎年三万人と言われている。
事故による死者数と同じぐらいだそうだ。
また未成年の自殺者が増加傾向にある。

私は未来に希望を持てる日本にしたい。

そのためには、まず大人が情熱をもって
かっこよく生きていこう。

その姿を子供が見て自然と
あ~自分もこうなりたいなぁと思う、
それが希望だ。

きっとちょっとでもより良く生きようとすることで
始まるのかもしれない。

それがきっと人に良い影響を及ぼすのだろうと思うのだ。

復興していく今の日本に、情熱をもってかっこよく生きる人が
たくさん生まれると思う。

よく被災地にいって逆に励まされたときく。
頑張ってる人をみて自分も頑張ろうという気持ちになったり
するんだな。

それも情熱の連鎖だ。
きっと希望がたくさん生まれてくる。

vol48

tomoko
トモコヴォイス紙面会報誌 vol.48より
(2011年5月1日)

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