トモコヴォイス会報誌vol.31 

『徳川将軍家の人が目の前に!』
十八代徳川恒孝さんの講演から〜

こんにちは。いかがお過ごしですか?
風邪に気をつけて元気に楽しくいってみよ〜

先日近くの公会堂で、徳川家康の子孫、あの最後の十五代徳川慶喜から
つづく徳川家十八代目の徳川恒孝さんの「江戸から学ぶエコライフ」
という講演を聞くことができた。

私は何と言っても今の徳川家、生の徳川の人間に会って見たい一心だった。
歴史小説家、山岡荘八が十七年かけて執筆した「徳川家康全二十六巻」を読破し、
帰国後すぐに江戸東京博物館の江戸開府四百年記念「徳川将軍家展」にまで
行った私だ。

前から二列目に座りワクワクして講演スタートを待った。

徳川恒孝さんあは普通の現代の人だった。
(あたりまえだ、江戸時代の侍の格好で入ってくるわけがない)

彼をどうしても徳川家康の絵と比べて見てしまう、
私の勝手な想像、妄想が何度なく似ている様に思える。

それだけで私の心の中はオォー!
と感嘆の叫びをあげていた。

とても優しそうで少し白髪もまじっていたがそれがもっとリアルで
江戸からやってきた様に思えてしまうほどだ。

彼は戦(いくさ)について話しだした。
戦争は今でもお金がかかるのだと。

国全体の総予算の八十%近くのお金を日露戦争、終戦前には使われたそうだ。
今の中東で起きている戦争もそうなのだろう。
豊臣秀吉が晩年に朝鮮出兵をした時も、民から七割の年貢をとっていた。
それは七年にも及んだ。

一万六千の兵が出兵し帰って来たのは一万人。
他国に攻め入ることは未知であり、今の平和な日本の私達には想像もつかない。
武士の精神力も並々ならなかっただろう。

戦乱の時代が終わり江戸時代となり、日本は十七世紀から十九世紀の
二百六十年にわたる平和を達成した世界唯一の国となった。

徳川さんは江戸時代の人々の価値観、暮らしぶり、大切にしていたもの
等などを話してくれた。

長い戦乱の後、1600年から1700年の百年ですごく日本は成長する。
現在の日本の「形」が出来たのがこの時代だそうだ。

戦がなくなったため、大減税となったのだ。
今まで七割が取られて三割しか民に残らなかったものが逆転。
三割が年貢で七割が手元に残る。

経済の爆発が起きるのだ。
これが元禄時代だ。

人々は魚を食べるので川や海をきれいにしていたのだ。
幕府は日本中の大治水工事や街道の整備、壮大な新田開発をした。

人口がこの百年間で千二百万人から三千万人に増える。
武士=義、商=利、工=技、農=篤。

当時の人たちが何に誇りを持っていたかを表す。

お侍さんはお金に直接触ることがなかったらしい。
物を買う時は商人に財布を直接渡して必要なお金をとってもらい
財布を商人から返してもらう。

戦国時代とはまるで違い、人々は誇りを持ち平和の時代に生きていたのだ。

徳川さんは徳川記念財団を立ち上げ徳川将軍家に伝来する歴史的な品々
を保存・管理公開していくとともに、日本近世史の研究、教育に貢献されている。

またWWF世界自然保護基金ジャパンの会長さんも務められ、
環境問題に取り組んでおられる。

素晴らしいことだ!
ぜひ彼の話をたくさんの人に聴いてもらいたいと思った。

私はアメリカにいる時、自分は日本人だと感じる機会がたくさんあった。
自分自身の中にある日本人特有の価値観、考え方の根源、
理由が日本の歴史にあると思うのだ。

アメリカで歴史小説を読みあさったもんだなぁ。
昔の人はどう生きていたのかって想像すると面白い。

江戸の人がすごく近くに感じられて、
今の日本、また自分自身の生活を考えさせられた。

vol31

tomoko
トモコヴォイス紙面会報誌 vol.31より
(2009年11月1日)

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