トモコヴォイス会報誌vol.60
「女性ミュージシャンの心意気」
ー2012 春コンサートー
昨年十一月、私はビブラフォンのまいこさんに電話をかけた。
「琴とやるってどうかな?」 と話した。
まいこさんはすぐに 「それ、良いよ」 て答えてくれた。
まいこさんと琴のてみさんは『おるでゅお』という
名前のユニットとして二人で演奏している。
すぐにまいこさんからメールで
「てみちゃん大丈夫だって」
と知らせが来た。
お~っどんな風になるんだろうと
ドキドキ期待感と不安感もあった。
四月二十七日のtomoko 2012 春コンサートは
『琴とビブラフォン、ピアノ弾き語り』
で決定した。
私はてみさんにあったことがなかったが、電話で話すと
可愛らしい声から温かさが伝わってきて親近感を感じた。
四月、リハーサルは私の自宅スタジオ。
てみさんは埼玉から大きなバンで片道三時間かけてやってきてくれる。
そこにはマイクと椅子、もちろん琴、それも数台が積まれていた。
どんな現場でも対応できるようにしているてみさんの琴奏者としての
生き方がそこにはあると感じた。
十三弦の琴と低い音の十七弦の琴。
長さが結構ある。
私の机の下に琴の端っこを突っ込み、てみさんは
出入り口のドアのすぐそばに座る。
まいこさんも車からビフラフォンを運び込んだ。
てみさんは絨毯に座り、私はアップライトピアノの椅子に座り、
まいこさんは立って弾く。
琴のポロポロポロとハーブのような弦のつま弾く音がなる。
それにふわぁ~とビブラフォンが包み込むようで、
これはいいとすぐに感じた。
blue train(私のオリジナル曲)を合わせた。
低い音の十七弦の琴でギターのようにリズムを刻んでくれた。
お~っカッコいい!
と私は喜びの中で歌った。
てみさんはよく曲を聴いていてくれて理解してくれた。
まいこさんもてみさんも曲の方向性をすぐに感じとって
くれるため合わせやすく、やりやすい。
『We are the world』は最後に半音キーが上がる。
これをどうやれるか試した。
難しかったら、キーが変わった後に琴に入ってきてもらおう
と思ってたのだが、てみさんは果敢にも挑戦した。
キーの変わる何小節か前で、チューニングするというのだ。
琴の上にのっていて弦を引っ張っている三角のものを
移動させてキーを半音あげなくてはいけない。
ギターではこんなことできない。
至難の技に思えた。
でもてみさんは「あーできるできる」とさらってやってのけた。
ひぇ~っすごいもんだ。
それから彼女のオリジナル曲を、私は歌うことになった。
『那由多』というとても雰囲気があってカッコいい曲だ。
この曲は途中でリズムのテンポが変わる。
琴の独特の間の後でカウントなしでいきなり早いテンポで
あわせないといけない。
ドラムの人だったらこんなことできないというだろう。
まいこさんは、てみさんと長くやってるからできるように
なったと言っていた。
私にとっても琴の世界への挑戦だった。
リリスホール、本番の日、てみさんは着物を着て、
まいこさんもドレスアップ。
私もどうにか準備を終え、コンサートは始まった。
音をだすとワクワクして面白いことが始まるぞぉと
嬉しい気分で歌わせてもらった。
お客さんからはいつにも増しててとても温かい雰囲気が
伝わってきた。
琴は日本の文化、風土から生まれた。
華やかさもあるが木の音がなるような自然な素朴感も感じられる。
てみさんはそんな琴を本当に愛しているのだなぁと感じた。
琴と一体になって弾く姿はとても輝いて素敵だった。
てみさん、まいこさん、自分の楽器の音を巧みに操る
ミュージシャンとして生きている彼女達。
そんな彼女達と出会えたこと、演奏できることが嬉しく、
私ははげまされ、勇気を与えてもらっている。
tomoko
トモコヴォイス紙面会報誌vol.60より
(2012年5月1日)