トモコヴォイス会報誌vol.40

オレゴンから愛
-夏のホームステイー

 

短大一年の夏、念願のアメリカ、オレゴンへ
ホームステイへ行くと決めた。

昔にやっていた、「オレゴンから愛」のドラマでみた
大自然の中へ行きたい、子共のころからしてみたかった、
馬や家畜の世話をしにファーム(農場)に行きたかった。

私が滞在したのは、母と娘の二人家族の小さな家だった。

小さいといっても丘の上で敷地は広く、
馬小屋、馬のフィールド(放牧させる場所)があり、
そこに馬が六頭、犬三匹、猫一匹、ウサギやニワトリがいた。

前もって自己紹介の手紙を出していたが、
二人は空港ではじめてあった私を
本当に快く、笑顔で迎えてくれた。

その時から私はこの二人に対して何の違和感もなく、
同じ家族のように接することができた。
二人が私にそうさせてくれたのだな。

母のパットは、とても働き者、動物たちの世話と、学校の英語の教師をしていた。
私のために豆腐の味噌汁を作ってくれたり、お風呂に入っていいんだよと
バスタブにお湯を入れてくれたりあした。

夜になるとケイティと私にアイスクリームとショートブレッド(さくさくしたクッキー)
をくれるのが楽しみだった。

娘のケイティは十四歳で私より背が高く、力持ちだった。
私は着いたその日から一か月間、ケイティの部屋で彼女のベッドで寝た。
彼女は私の代わりにベッドではなく、床に寝袋を敷いて隣で寝た。
姉妹のようにずっといっしょに過ごした。
年下でもしっかりしていて、自分の勉強になるんだと、
日本から来た私を助けてくれた。

英語を助けてくれたり、馬の世話の仕方、遊び方、料理の仕方、
そこで生きるすべを教えてくれた。

馬の世話は朝五時から始まる。
二人とも馬をとても愛しうまく乗れた。

ケイティはいろんな乗馬コンテストで優勝している。
パットが朝、馬を先にフィールドへだし、
午前中に私とケイティ二人で空いている馬小屋の掃除をする。

ケイティは裸馬にひょいっと乗って
馬と一体になり馬と楽しそうに会話する。

ある時、林の中を馬で散策するイベントに参加するため、
私の乗馬の特訓がはじまった。

いつも世話をして馬に話かけていたが、
さて乗るとなるとまた違った。
馬はとても繊細だ。

私の内心を察するようにお見通しなんだよって
いつも馬から言われているようだった。

私は頑張り、どうにかその日までに乗れるようになった。

パットは私に安全装備、ヘルメットをかぶらせ、
ケイティとともに当日送り出してくれた。

私の乗る馬ははじめましての初対面の馬。
慣れない私を馬鹿にしたように、私のいうことをきいてくれない。

勝手に前の馬の後をついていってしまったりした。
突然前の馬が走り出すと、追っかけるように走り出したのだ。

私の片足が外れ、必死につかまりながら落馬しないように頑張った。
私はいう事をきけ!と強く手綱を引いた!

三、四時間ほど乗っていただろうか、
その馬とやっと仲良く会話ができるようになった。

馬は私に謝るように優しくなった。

生きた馬の鼓動が伝わり
風を感じて走る時は本当に爽快なものだ。

その夏オレゴンでたくさんの人、動物、大自然と出逢った。
人種なんて関係なく、人間の根本的な優しさ、愛情をたっくさん感じた。

人間はみんないっしょだ。
その思い出を帰国する時、絵に描いて二人へプレゼントした。

別れの空港では二人にはただただ感謝で涙が止まらなかった。

vol40

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トモコヴォイス紙面会報誌vol.40から
(2010年8月1日)

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