トモコヴォイス会報誌vol.74

「人間の未知なる可能性」
ーヴォイストレーナーの仕事ー

 

先日、リリスホールで
『ステージパフォーマンス公開レッスン』
というものを開催した。

私がロサンゼルスのSchool of the Natural Voice
(スクール オブ ザ ナチュラルヴォイス)からチェザリィ・
ヴォーカリスィズ発声法を伝え続け十七年が経つ。

ロサンゼルスにいた時にはヘッドコーチのグロリア
ラッシュからこのレッスンを受けいた。

その時一緒に受けていたのは四人のアメリカ人。
歌を聴いてもらったあと、私のパフォーマンスをよくするため、
じっくりと意見や感想を言い合う。

緊張したが、とてもためになった分の経験を活かし、
今回初めて私自身がそれを開催した。

それは一回きり本番の発表会ではなく、二回本番をする。
学び、体験をするレッスン。

一回目の本番をビデオで撮影し、歌ったあとすぐにそれを見て、
また聴いてくれた人の感想や意見を参考に、二回目の本番を
より良いものにするよう自分で考え再チャレンジする。

自分の歌っている姿をすぐに見て、他人の感想もすぐに聴くという
のは、初めてステージで歌う人にとって勇気のいることかもしれない。

一月に参加者募集をした時、どれだけの人が興味をもつだろう
と心配していたが、その日のうちに定員になってしまい、仕方なく
断る人も出てきてしまった。

今回、十一組の人が参加決定となった。
参加者の人達はレッスンでこの半年間、歌を練習した。

小学二年生の女の子は英語でAmazing Graceを
歌いたいと言ってきた。

英語は読めないけど、音で覚えてくれる。

私はなるべく簡単なアレンジでと思っていたのだが、
彼女は私が歌っている四番の難しいフレーズを覚えてきた。

私は良く覚えたね!と本当に驚き感心した。

この六月十五日に近づいてくると参加者のそれぞれのレッスンで、
歌詞を見ないで歌うようにしたり、できなかったフレーズができる
ようになったり、目に見えた変化が起こってきた。

当日、私は司会進行をし、ステージ上のひとりひとりの歌う姿を見た。

日々のレッスンでは見られない表情、真剣に取り組む
素直な姿勢にずっと感動していた。

心の中で、お~!ナイストライ!と絶賛したり、
よしよしっ がんばれっと応援したり、
私自身は楽しい嬉しい時間だった。

終了参加者の感想を読んだ。

それぞれが冷静に自分の歌に向き合い考えて、
その通りチャレンジしたのが伝わってきた。

緊張してでも歌った自分の歌に、冷静に向き合うって難しいことだ。
二回目の本番を迎える前に、そこでもう大きな壁に乗り越えている。
自分の歌に向き合うこと自体が大きなチャレンジだったかもしれない。

きっとこれに参加すると決めた時から
彼らのチャレンジは始まっていたのだ。

やはり二回目の本番の方がみんな良くなっていたのは
そこに理由があるのだろう。
何か目的を持つと日々のレッスンも良い意味で引き締められ、
より自分の歌を向上させられるのだろう。

実は私は今年からレコーディングレッスンを始めた。
日々のレッスンの延長でプライベートレッスンだ。

週一回の四回レッスンで一曲をレコーディングする。
ヘッドフォンを付け同じフレーズを聴き返しながら
何度と歌う。

レコーディングはちょっとした音程のズレもわかってしまうので、
正確さ、高度な技術が必要とされる。

それらのレッスンをしながら、私は、今までにない人の力、
エネルギー、可能性を感じることができた。

私は、レッスンでその人の歌の向上に全力で務める。
それを肝に命じ日々の精進だ。

ヴォイストレーナーの仕事をとおしていろんな人に
出会うことができる。

また人間の大きな可能性に直面することができる。
そこが感動なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

tomoko
トモコヴォイス紙面会報誌 Vol.74より
(2013年7月1日)

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